泣きたくなるほど嬉しい日々に。を聴いて

先週、クリープハイプの新譜『泣きたくなるほど嬉しい日々に』を買った。聴けば聴くほど好きになる最高のアルバムだった。クリープハイプの曲を聴く度に、素直な気持ちと向き合える。

音楽雑誌『MUSICA』に掲載された尾崎さんの巻頭インタビューでは、インタビュアーが今作のアルバムを「優しい」や「前向き」、「王道感」といった言葉で今作の特徴を表現していた。

それで、ファンの方がこのアルバムをどう捉えているのかが気になって、このブログを書くことにした。

どうでした?

オトナになって分かること

メジャーデビュー直後の<社会の窓>や<HE IS MINE>の歌詞表現が好きだった人にとって、今作にも言葉にしがたい異物感があると思う。なんでも、当時ファンになった人は口を揃えて「最近のクリープは丸くなった」とか「感謝しすぎ」とか言ってるらしいから。

たださ、クリープハイプの魅力ってそこ? と思うわけです。

個人的な話になるけど、僕が初めてクリープハイプを聴いたのは童貞卒業したての高校生の頃で、意味もなく髪をうんこ色に染めたり、SNSにとんでもポエムを投稿してたんですよ。初期ファン意識が強い人たちと同年代だから分かってくれると思う。

でね、そんな僕も、最近ようやくオトナの仲間入りしたんですよ。メールの文頭に毎度「お世話になっております」と書いてみたり、打ち合わせ時に率先してお茶汲んでみたり、お酒の場では明るく立ち振るまってみたり、そんなことに気を遣いながら生きているんですよ。

昔に比べて「クソだなぁ」とか「ムカつくなぁ」と思うことが増えたし、まだ、悔しさしか知らない。オトナの世界は、知らないことだらけ。ムカつくよね。

それでも前を向いて歩かないといけない。このさき何年も理不尽な社会と闘い続けるしかない。誰も助けてはくれない。誰も助けてはくれないけど、クリープハイプの音楽が支えに、クッションになってくれる。

下を向いて歩いていたら、たまたま慰めてもらえた。卑屈な自分の救済法。僕にとってはそんな存在でした、クリープハイプ。

つまり、活動初期から素直な言葉を綴り続けること、どんな事情が絡んでも信念を曲げない強さがあること、こんなことを平然とやってのけるのがクリープハイプの魅力だと思う。オトナになってようやく分かる、独特の鋭さがある。

小さな幸せすら逃さないように

よく「ファンにメンヘラが多いよね」と言われるのは、ふと立ち止まったときに訪れる虚無感や喪質感に打たれ弱くて、明日が来る前に自己嫌悪になってしまう人が辿り着く音楽だからだと思う。

でもそれは誰しもが陥るものだと思うし、悪いことではないよね。ロボットじゃないんだから。

冒頭で、今作の『泣きたくなるほど嬉しい日々に』が最高だと書いたのは、そんな僕たちに、目の前の小さな幸せを教えてくれたから。すぐに気づくのは難しいかもだけど、ゆっくり行こう。

くだらない妬みや変わらない痛みに傷ついて気づく日も この先いつだって 君の味方だよ

こんな表現がさらっとできる、クリープハイプが好きだ。

泣きたくなるほど嬉しい日々にクリープハイプ オフィシャルサイト